シンとステラのやり取りを微笑ましそうに見ていたキラがそれじゃ、と声を上げた。
「男子寮、女子寮に別れて寮内を案内するね」
「あ、はい」
キラは白い建物の方を指差しながら
「こっちが男子寮で、常盤寮」
次いでラクスが赤茶色の建物を指差しながら
「そしてこちらが女子寮の旭日寮です」
と言った。
常盤寮に旭日寮。
そんな名前があることは知らなかったけど、いい名前だなぁ、とシンは素直に感嘆する。
では、とラクスがキラを振り仰いだ。
「私はステラさんと旭日寮に戻りますわ」
「あ、うん。また後でね」
「はい。ではステラさん、参りましょうか」
ラクスにそう促され、ステラはこくりと頷いた。旭日寮の入り口に向かい歩き出したラクスの後についていく。
去っていくステラの背中を見送りながら、シンは少しだけ寂しいような残念なような、そんな形容のしがたい気持ちになった。
まぁ同じ寮生で、しかも同学年。
そのうちまた会えるだろう。
と、シンが無理に自分に言い聞かせていると、ふいにステラが振り返った。
「シン………」
「え?」
シンは、ぽかんと口を開く。
もしかして今、俺の名前を………呼んだ?
いや、もしかしなくても、ステラは自分を呼んだ。
「な、なに?」
上擦った声で、シンは返事を返す。
するとステラは
「………またね」
と言って、淡く、本当に淡く微笑んだ。
そのまま踵を返し、待ってくれていたラクスの後ろにつき、旭日寮に消えた。
思わぬことに、シンは言葉を失っていた。
そんなシンに、キラが声をかける。
「あの娘、君の彼女なの?」
「かの……?……ち、違いますっ!」
シンは顔を真っ赤にして首を振った。
「ス、ステラとは今日会ったばかりなんです!」
だ、だから彼女とかそんなんじゃないんですっ!
そう必死に言うシンに、キラはくすくすと笑った。
「そっか、ごめんね変なこと言って。じゃ、僕たちも寮に入ろうか」
「……は、はい………」
あっさりと納得され、シンは微妙に複雑な気分になる。
自分で否定したくせに。
そんなシンの心中には気付かず、キラはにこにこと笑う。
「ねぇ、シン君」
「え、あ……シンでいいです」
「そう?じゃあシン」
「はい?」
改まれて名前を呼ばれ首を傾げるシンに、キラは寮のドアを開きながら優しく微笑み
「ようこそ、常盤寮へ」
と歓迎の言葉を述べた。
シンはしばらく呆気に取られながらも、ぱぁっと顔を明るくし
「はい、よろしくお願いします!」
元気よく、寮内へ入っていった。
END
‐あとがき‐
第一話です。前のがプロローグでしたので、これが第一話。
キララク登場v
寮長に仕立て上げてみましたv
今回は全然それっぽくなかったけど、当たり前の如く二人は恋人です。寮長カップル〜♪
この本編では高校三年生設定です。上級生ですvv
予想以上に話の進みが遅く、うっとしいこと極まりないですネ!!(ぇ)
次でやっと入学です。
他キャラも出ます!
できるだけさっさと書きたいです!!
UP:05.01.16